できれば多くの方にこの投稿が読まれることを切に願います。
この案件について、情報が偏った報道がされていたり、ちょっと違うんじゃないかなと感じる発信がされていたりするからです。
鈴の森公園に文化財収蔵庫(約100坪)の建設予定に関係する設計委託費が今年度の2月の予算で可決されました。事業費は設計委託料で約3,500万円。議会でこの事業予算を理由に反対する議員はいなかったです。そして、今、行っている9月議会で、その建設を再度検討して欲しいという請願が出され、担当の委員会(文教経済委員会)では「賛成4:反対2」で採択することが決まりました。
私は、請願の採択に反対しました。一、議員として、将来的な展望を聞いたうえで文化財収蔵庫の必要性を認め、GOサインを出した自分たちの判断は間違っていないと思うし、GOサインを出した責任もあるからです。採択に反対した主な理由を下記に挙げます。
□請願者は、収蔵庫が建設される土地にある池や川や木などの自然がなくなることを心配されていましたが、池も川もそのまま残ります。木々については、一部どうしても切らないといけないのがあります。しかし、移植できる木々については移植すると担当課は発言しています。
□土地の面積は約100坪で、鈴の森公園の総面積(61,000㎡)の約0.7%です。公園で遊ぶということに影響するほどの面積ではないと判断しました。請願者に収蔵庫建設が公園利用に影響があるのかどうか委員会において確認したところ「ない」というご答弁をいただきました。
□建設予定場所にある四阿(あずまや)についての継続した利用を請願者は要望されていますが、昼間は木陰もあり落ち着いた場所である一方、少し薄暗く目が届きづらい場所でもあり夜は社会的に良くないことが実際起こった場所であることから、収蔵庫の建設予定場所であることとは別に移設されるべき公園施設です。また、担当課は移設すると発言しています。
□文化財教育・振興ができる場所だからこそ、鈴の森公園に収蔵庫は必要。
文化財センターとして、ギャラリーやはにわ館、既存の収蔵庫があります。新たに収蔵庫を建設する目的は、旧長谷川治郎兵衛家にある8万点以上もの書物等や市内に点在する文化財を一括して管理するためです。また管理するだけでなく、併設するギャラリーで展示やイベントの開催が可能となることから、市内外の人に見てもらうことが可能になります。松阪市の歴史の一部や文化の一部を知る手がかりとなる想いを、今を生きる人々が感じられる機会や瞬間というのは必要だと考えます。ましてや、海外との距離が近くなってきている今だからこそ、松阪に生まれ育った子どもたちに「松阪市民」として認識してもらうために、松阪の文化財との接点をつくっていくことの重要性は今後、増す一方だと考えます。市外や県外、国外へと出ていった時に、自分が何者であるかということを必ず問われます。「松阪人だ」と胸を張って、こどもたちに言ってもらうためにも、松阪とはどんなまちかと多角的に捉えてもらうことのひとつとして文化財をもっと活用すべきだと思っています。
請願というのはどうしても一方の声で占められる性質があるということを前提に話を進めないといけなくなります。特に今回のような収蔵庫という市民が望んで作られるというよりかは、行政が今後の文化行政を考えていく上で、これまでの経緯を踏まえ長い将来に渡り、どんな政策を行っていくのかという視点に立って作られるものと、今の鈴の森公園の土地の一部を減らすということは、相反する部分もあるからこそ、議員はより多角的な視点で物事を見ることが試されます。“議会で説明がなかった”と議員としての自主性のなさや怠慢さは言い訳にもなりません。
今回、請願者の純粋な想いはすごく感じましたし、私なりに受け止めたうえで総合的に判断しました。必ずしも請願者の想いに応えられるわけではないですが、請願者の想いは大切にしたいと思います。
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